インドのEVスタートアップ、Atherが5億3000万ドルのIPOを計画
インドの電動スクーターメーカー、Ather Energyが大きな一歩を踏み出そうとしています。同社は月曜日に提出した目論見書案によると、新規株式公開(IPO)で約5億3000万ドルの調達を計画しています。
Atherの野心的な資金調達計画
まず、Atherの資金調達の詳細を見てみましょう。同社は新株発行で3億7000万ドル、既存株主からの株式売却で最大2200万株を売り出す予定です。さらに、関係者によると、同社は15億から20億ドルの企業価値を目指しているとのことです。
では、なぜこのタイミングでIPOを行うのでしょうか。その背景には、世界第3位の自動車市場であるインドでの電気自動車需要の高まりがあります。Atherは、この成長市場でのチャンスを活かそうとしているのです。
資金の使途と市場動向
次に、調達資金の使途について見ていきましょう。Atherは以下の3つの主要な目的で資金を使用する予定です:
- マハーラーシュトラ州での新製造施設の建設
- 借入金の返済
- 研究開発への投資
一方、インドの電気自動車市場は活況を呈しています。その背景には、政府の優遇措置や燃料価格の上昇があります。実際、インド政府は2030年までに乗用車の30%、商用車の70%を電気自動車にする目標を掲げています。
競争激化する市場でのAtherの立ち位置
さて、Atherの市場での位置づけはどうでしょうか。8月下旬の政府データによると、同社は電動二輪車市場の約19%のシェアを持っています。しかし、競争は激しさを増しています。
例えば、Ola Electricが31%で市場をリードし、TVS MotorとBajaj Autoがそれぞれ20%と19%のシェアを持っています。また、Hero MotoCorp(Atherの出資者の一つ)も約5%のシェアを確保しています。
さらに、既存の自動車メーカーもEV市場への参入を加速させています。例えば、Bajaj Autoは今年6月末時点で11%の市場シェアを獲得しました。
強みと財務状況
最後に、Atherの特徴と財務状況を見てみましょう。2013年にTarun MehtaとSwapnil Jainによって設立されたAtherは、自社設計へのこだわりで知られています。実に、主要部品の80%が社内で設計されているのです。
これまでに、同社は複数のラウンドで約5億ドルを調達してきました。ただし、3月に終了した会計年度では、2億1300万ドルの収益に対し1億2600万ドルの損失を計上しています。
Atherの今後の成長と、インドのEV市場の発展が注目されます。