Discordが顔認証や身分証による年齢確認を導入するというニュースが話題になりましたが、この流れに対して「そもそもサービスに依存するのをやめよう」という議論が出てきています。2026年2月に公開された「Use Protocols, Not Services」というエッセイが、Hacker Newsで注目を集めました。
プロトコルとサービスの根本的な違い
インターネットは本来、匿名性とプライバシーが設計に組み込まれた仕組みです。管理者が意図的にトラッキングしない限り、組み込みの本人確認レイヤーは存在しません。
ところが、コミュニケーションが特定のプラットフォームに集中することで、この特性が壊れてしまいます。サービス提供者自身がユーザーを特定できるようになり、政府も一通の命令で情報開示を求められるようになるわけです。
プロトコル(IRC、XMPP、Matrix、Nostr、ActivityPubなど)の場合、単一の規制対象が存在しません。数千の独立したサーバー運営者を個別に圧力をかける必要があるため、実質的に不可能なんですよね。
サービスを乗り換えても問題は解決しない
Discordの年齢認証を嫌って別のサービスに移行する人もいますが、エッセイの筆者はこれを「無意味」と断言しています。新しいサービスも同じ管轄下にあれば同じ規制に従うことになりますし、海外サービスも規模が大きくなれば圧力がかかります。
実際、Discordの年齢認証ではPeter Thiel関連企業によるデータ収集も懸念されています。サービスを乗り換えるのではなく、そもそもサービスに依存しない選択肢を考える時期に来ているのかもしれません。
メールが示すプロトコルの回復力
メール(SMTP)はプロトコルの好例です。GoogleやMicrosoftが寡占状態にあるとはいえ、仮にGoogleにアカウントをBANされても別のプロバイダーに移行してGmailユーザーに連絡できますよね。
極端な話、GoogleとMicrosoftがサービスを停止しても、SMTPの実装は動き続けます。移行は必要ですが、ゼロから作り直す必要はありません。Discordのような集中型サービスでアカウントが削除されたら、それで終わりです。この差は大きいなと感じました。
具体的にどんなプロトコルがあるのか
2026年時点で実用的な分散型プロトコルは意外と多くあります。
- XMPP:古くからあるメッセージングプロトコル。自宅サーバーで構築することも可能
- Matrix:エンドツーエンド暗号化対応のチャットプロトコル
- ActivityPub:MastodonなどFediverse系SNSの基盤
- Nostr:検閲耐性に特化した新しいプロトコル
プロトコルファーストの課題
もちろん、プロトコルベースのサービスにはUXの課題があります。設定が複雑だったり、機能が足りなかったり。それでも、Bluetoothでも個人情報が漏れる時代に、少なくとも選択肢として知っておく価値はあると思います。
「サービスを選ぶたびに、単一の企業に自分のデータと身元を委ねている」という意識を持つだけでも、デジタルライフの質が変わるかもしれませんね。