本番環境のアラートが鳴りっぱなしで、どれが本当に重要なのか分からない。オンコール対応で夜中に叩き起こされたのに、結局ノイズだった——そんな経験をしたことがあるエンジニアは多いのではないでしょうか。

2026年2月、Y Combinator W26バッチから登場したSonarlyは、まさにこの問題を解決するために作られたAIエージェントです。本番アラートを自動でトリアージし、根本原因を特定し、場合によっては修正のPRまで作成してくれるという、なかなか野心的なツールになっています。

Sonarlyが解決する問題

現代のマイクロサービスアーキテクチャでは、1つの障害が複数のサービスにカスケードして、大量のアラートが同時に発火することがあります。PagerDutyやOpsgenieのダッシュボードが真っ赤になって、どこから手をつければいいか分からない状態ですね。

Sonarlyのアプローチは3ステップで構成されています。まず重複アラートをグルーピングしてノイズを除去し、次にコードベースとログを分析して根本原因(RCA)を特定します。そして最後に、同じRCAを持つアラートを再グルーピングして、エンジニアが対処すべき「本当の問題」だけを提示するという仕組みです。

技術的な仕組み

Sonarlyは既存のモニタリングスタック(Datadog、Sentry、PagerDuty等)と連携して動作します。アラートが発火すると、AIエージェントがリポジトリのコードとスタックトレースを照合し、障害の原因となったコード変更を特定してくれます。

特に面白いのは、アラート設定自体を改善する機能です。「このアラートはノイズが多い」と学習すると、閾値や条件の調整を提案してくれるため、アラートシステム自体が時間とともに賢くなっていきます。

従来のAIエージェントはコード生成に注力するものが多かったのですが、Sonarlyは「運用」というエンジニアリングの後半戦にフォーカスしている点が新しいと感じました。

YCバッチでの評価と競合

Y Combinator W26バッチはAIエージェント開発のスタートアップが多数参加していますが、Sonarlyは「DevOps×AI」という明確なニッチを押さえています。

競合としては、Rootly、FireHydrant、incident.ioなどのインシデント管理ツールがありますが、これらは主にワークフロー自動化に注力しています。一方Sonarlyは、コードレベルの根本原因分析まで踏み込んでいる点で差別化されているようです。

MTTR短縮への期待

MTTR(Mean Time To Resolution)の短縮は、SREチームにとって最も重要なKPIの一つです。Sonarlyの公式サイトでは、アラートのノイズを大幅にカットしてMTTRを削減できるとしています。

実際のところ、オンコールエンジニアの負荷は年々増大しています。AIコーディングエディタがコード生成を効率化した結果、デプロイ頻度が上がり、本番障害のリスクも増えているわけですね。

導入を検討する際のポイント

Sonarlyは現在、Datadog・Sentry・PagerDutyとの連携に対応しています。GitHub連携で修正PRの自動作成も可能とのことですが、セキュリティ面でコードベースへのアクセス権限をどこまで渡すかは慎重に検討した方が良さそうです。

また、まだYC W26から出たばかりのスタートアップなので、大規模環境での実績は限られています。まずはステージング環境で試してみて、ノイズ除去の精度を確認するのが現実的なアプローチかなと思います。

まとめ

Sonarlyは、AIエージェントを本番運用のトリアージに特化させた新しいアプローチのツールです。コード生成AIが注目される中で、「作った後の運用」を支援するAIの需要は今後ますます高まっていくのではないでしょうか。

オンコール対応に疲弊しているチームにとっては、試してみる価値がありそうです。公式サイト(sonarly.com)から早期アクセスに登録できます。