Hacker Newsで「Rari」というRust製のReactフレームワークが話題になっています。JavaScript/TypeScriptが主流のフロントエンド開発に、Rustという選択肢を持ち込もうとするプロジェクトで、パフォーマンスとDXの両立を狙っているようです。

Rari Rust Reactフレームワークの概要

RariはReactのコンポーネントモデルを踏襲しつつ、コアエンジンをRustで実装したフレームワークです。既存のReact知識をそのまま活かせる設計になっていて、JSX風の記法でコンポーネントを書くことができます。

特徴的なのは、ビルドプロセスでRustのコンパイラを活用している点です。バンドルサイズの最適化やツリーシェイキングをRustの型システムを使ってより厳密に行えるため、従来のJSバンドラーでは実現しにくかった最適化が可能になっています。

なぜRustでReactなのか

「フロントエンドにRustは過剰では?」という疑問は当然出てきますよね。ただ、最近のフロントエンドツールチェーンを見ると、Rustの採用は珍しくなくなっています。

SWCはBabelの代替としてRustで書かれたトランスパイラですし、TurbopackもRust製のバンドラーです。フロントエンド設計の転換点でも触れましたが、フロントエンド開発のツール層はすでにRust化が進んでいるんですよね。Rariはそれをランタイムにまで拡張しようとしているわけです。

具体的なメリットとしては、起動時間の短縮、メモリ使用量の削減、そしてWebAssemblyへのネイティブコンパイルが挙げられます。特にWasm対応は、エッジコンピューティングとの相性が良く、RustのWasmエコシステムの成熟度を考えるとかなり実用的です。

既存フレームワークとの違い

Next.jsやRemixといった既存フレームワークとの最大の違いは、ランタイムの実行モデルです。従来のフレームワークはNode.js(またはDeno/Bun)上で動きますが、RariはRustのランタイムで直接実行されます。

これにより、サーバーサイドレンダリング(SSR)の処理速度が大幅に向上する可能性があります。GitHub上のベンチマークでは、同一コンポーネントのSSR処理でNode.js比3〜5倍の速度が出ているとの報告もあります。

一方で、エコシステムの規模は比較にならないほど小さいです。npmの膨大なパッケージ資産をそのまま使えるわけではなく、Rust側で互換レイヤーを用意するか、限定的なJSブリッジを経由する形になります。

開発体験はどうか

実際に触ってみた感覚としては、React経験者であればそこまで違和感なく使えるという印象です。コンポーネントの定義はJSX風ですし、stateやpropsの概念も同じ。ただし、Rustの型チェックが厳密に走るため、JavaScriptの「とりあえず動かしてから直す」スタイルは通用しにくいかもしれません。

ホットリロードにも対応していて、開発サーバーの起動自体は非常に高速です。Rustのコンパイル時間が気になるところですが、インクリメンタルビルドが効くので、初回以降はそこまでストレスにならないとのことです。

今後の展望と課題

まだ初期段階のプロジェクトなので、プロダクション利用にはかなり慎重になる必要があります。ドキュメントも発展途上ですし、コミュニティも小規模です。

ただし、GPT-5.3-Codex-SparkGemini 3 Deep Thinkのような高性能AIモデルをフロントエンドから直接呼び出すようなケースでは、ランタイムの効率性がUXに直結します。そういった文脈で、Rust製フレームワークの需要は今後増えていく可能性がありそうです。

Rust公式サイトでWebAssembly関連のドキュメントも充実しているので、興味がある方はそちらも合わせてチェックしてみてください。

まとめ

Rariは「Rust × React」という組み合わせで、フロントエンド開発のパフォーマンス限界を押し広げようとしているフレームワークです。現時点では実験的な色合いが強いですが、RustのWebエコシステム成熟に伴って存在感を増していく可能性は十分にあると感じました。すぐに実務で採用するというよりは、技術トレンドとしてウォッチしておくのが良さそうです。