PS6のデビューが2029年に延期される可能性
The Vergeの2026年2月16日の報道によると、SonyがPlayStation 6のデビューを2029年まで後ろ倒しにする可能性があるとのことです。その理由が「AIによるメモリ需要」だという点が、個人的にはとても興味深く感じました。
PS5の発売が2020年11月でしたから、もし2029年なら約9年のサイクルになります。PS3→PS4が7年、PS4→PS5が7年だったことを考えると、明らかに長くなっています。
AIがメモリ市場に与えている影響
なぜAIがゲーム機の開発スケジュールに影響するのか。これは半導体市場全体の需給バランスの問題です。
現在、AIモデルのトレーニングと推論には大量の高速メモリ(特にHBM:High Bandwidth Memory)が必要です。NVIDIAのBlackwell GPUを始めとするAIアクセラレータがHBMを大量に消費しており、メモリメーカーの生産キャパシティがAI向けに優先的に割り当てられている状況が続いています。
この影響で、ゲーム機に搭載するメモリの調達コストが上がっているわけです。Western DigitalがHDD品薄を語った話と同様に、AI需要がストレージ・メモリ市場全体を逼迫させている構図ですね。
ゲーム機の価格とメモリの関係
ゲーム機のBOM(部品原価)において、メモリは大きな割合を占めます。PS5は発売時点で製造コストが販売価格を上回る「逆ザヤ」状態だったと言われていますが、メモリコストがさらに上がれば、その逆ザヤはもっと大きくなってしまいます。
Sonyには選択肢がいくつかあります。
- 価格を上げる:ただし$500を超えるとコンシューマー市場では厳しい
- メモリ容量を妥協する:パフォーマンスに直結するため開発者からの反発が予想される
- 発売を延期する:メモリ価格が落ち着くのを待つ
3番目の選択肢を検討しているというのが、今回のリーク情報の趣旨ですね。
AI需要はいつまで続くのか
では、AIによるメモリ需要は落ち着くのでしょうか。
正直なところ、当面は難しいと感じています。Anthropicの300億ドル調達に象徴されるように、AI企業への投資は加速する一方です。各社がデータセンターを拡張し続ける限り、HBMやDDR5の需要は高止まりするでしょう。
ただし、メモリメーカー側も増産投資を進めています。Samsung、SK Hynix、Micronがいずれも生産能力の拡大を計画しており、2027〜2028年頃には供給が追いつくという見方もあります。Sonyが2029年を視野に入れているのは、こうした供給改善の見通しを考慮しているのかもしれません。
ゲーム業界全体への波及
PS6の延期は、ゲーム業界全体にも影響を及ぼします。
まず、ゲーム開発会社にとっては開発計画の見直しが必要になります。次世代機向けタイトルの開発着手タイミングが後ろにずれ、現行世代(PS5)の寿命が延びることになります。
次に、Microsoftの動向です。Xbox次世代機のスケジュールにも影響する可能性があり、Sonyが延期すればMicrosoftも急ぐ必要がなくなるかもしれません。
また、Nintendoの次世代機(Switch後継機)は別のセグメントのため直接的な影響は少ないですが、高性能メモリの需給は全体的に波及するので、無関係ではないでしょう。
AIとゲームの融合という可能性
皮肉なことに、AIがゲーム機の開発を遅らせる一方で、次世代ゲーム機にAI機能が搭載される可能性も高まっています。
AI PCがNPU(Neural Processing Unit)を搭載しているように、PS6にもAI専用のハードウェアが載るかもしれません。NPCの行動をリアルタイムで生成したり、テクスチャのアップスケーリングにAI推論を使ったりと、ゲーム体験を根本から変える可能性があります。
延期の期間がAI関連技術の成熟に使われるなら、結果的により魅力的なハードウェアになるという見方もできますね。
まとめ
PS6が2029年に延期される可能性があるというニュースは、AI需要が半導体市場全体に与えているインパクトの大きさを改めて実感させられます。ゲーム機という一見AIと無関係な製品にまで影響が及んでいるのは、この技術がいかに広範な産業に波及しているかの証拠ではないでしょうか。
PS6がいつ発売されるにせよ、AIとゲームの融合が進むことは間違いなさそうです。今後の続報に注目していきたいと思います。