World Labsとは
World Labsは、AIの先駆者として知られるFei-Fei Li(フェイフェイ・リー)氏が2024年に設立したAIスタートアップです。2026年2月、Andreessen Horowitz(a16z)とNVIDIAが主導するラウンドで10億ドル(約1,500億円)の大型資金調達を完了したことが報じられました。
Fei-Fei Li氏はImageNetの創設者であり、スタンフォード大学のAI研究所を率いた実績から「AIのゴッドマザー」とも呼ばれる人物です。Google CloudのチーフサイエンティストをYO務めた経験もあり、コンピュータビジョン分野では最も影響力のある研究者の一人として知られています。
ワールドモデルとは何か
World Labsが取り組んでいるのは「ワールドモデル」と呼ばれる技術です。これは画像や動画から3D空間を理解・生成するAIシステムのことで、単に画像を認識するだけでなく、物理的な空間の構造や物体同士の関係性を把握できるものを目指しています。
たとえば、1枚の写真からその場面のインタラクティブな3D環境を生成したり、仮想空間内でオブジェクトを物理法則に従って動かしたりする技術が含まれます。
この分野は、メタバース、ロボティクス、自動運転、ゲーム開発など幅広い応用が期待されていて、GoogleのProject GenieやOpenAIのSoraとも競合する領域だと言えます。
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なぜ10億ドルもの資金が集まったのか
AIスタートアップへの投資は2025年から2026年にかけて加速していますが、それでも10億ドルは異例の規模です。この背景にはいくつかの要因がありそうです。
まず、Fei-Fei Li氏の研究実績と業界での信頼が大きいと考えられます。ImageNetは現在のディープラーニングブームの礎となったデータセットであり、その創設者が次に何を作るのかに注目が集まるのは自然な流れでしょう。
また、ワールドモデル技術が「次のAIのフロンティア」として認識されつつあることも後押ししています。テキストや画像の生成はすでに成熟し始めており、3D空間の理解と生成が次の大きなテーマだという見方が強まっているんですよね。
競合と差別化
ワールドモデルの分野にはすでに大手プレイヤーが参入しています。
- Google DeepMind: Genie 2で動画からインタラクティブな環境を生成
- OpenAI: Soraの動画生成で物理シミュレーション的な能力を示す
- Meta: V-JEPAで映像の自己教師あり学習を推進
- NVIDIA: Omniverseプラットフォームで3Dシミュレーション環境を提供
World Labsの強みは、アカデミックなバックグラウンドに基づく基礎研究の深さと、コンピュータビジョンに特化した専門性にあると見られています。大手テック企業のような汎用的なアプローチではなく、空間知能に絞った研究開発を進めている点が差別化のポイントです。
今後の展望
10億ドルの資金をどう使うのかはまだ公式に詳しく発表されていませんが、研究チームの拡大と計算リソースの確保が中心になると予想されます。ワールドモデルの学習には大量のGPUが必要で、その調達コストはAIスタートアップにとって最大の課題の一つです。
Fei-Fei Li氏は過去のインタビューで、「AIは人間の空間的知能をまだ獲得していない」と繰り返し語っており、World Labsの使命はまさにその課題に取り組むことだと述べています。
