2026年2月、Discordが導入した年齢認証システムに関して、衝撃的な事実が明らかになりました。UKのユーザーが年齢確認のために提出した個人情報が、Peter Thiel氏が出資する企業「Persona」によって処理されていたんですね。しかもDiscord側はこれを「実験」と呼んでいたことが判明し、大きな波紋を呼んでいます。
Discord年齢認証システムの概要
Discordは2026年初頭から、UKとオーストラリアで年齢認証システムの導入を開始しました。3月からはグローバル展開も予定されています。このシステムでは、顔スキャン動画や機械学習モデルを使った「年齢推定」が行われる仕組みになっています。
ところが、実際にUKユーザーの画面に表示されたのは、Personaという企業がデータを収集・処理することへの同意画面でした。突然見知らぬ企業の名前が出てきて、戸惑ったユーザーも多かったようです。
Personaとは何者か — Peter Thielとの関係
Personaは本人確認・年齢認証を専門とするスタートアップで、2021年の資金調達ラウンドでは15億ドルの評価額がつきました。このラウンドを主導したのがFounders Fundです。そしてFounders Fundの共同創業者が、かのPeter Thiel氏なんですよね。
Thiel氏はPalantirの共同創業者でもあります。Palantirといえば、AI技術を使った政府・軍事向けの監視システムで知られる企業。米国のICE(移民・関税執行局)と連携して不法移民の追跡に関わっていたことでも物議を醸しました。こうした背景があるため、「Discordの個人情報がThiel関連企業に渡る」という構図に対して、多くのユーザーが警戒感を示しています。
Discord年齢認証の「実験」で何が起きていたのか
Discordが公開したFAQページには、以下のような記述がありました。
「UKにお住まいの方は、Personaが情報を処理する実験の対象となる場合があります。提出された情報は最大7日間一時的に保存された後、削除されます。」
ここで気になるのは、Discord側は以前「本人確認書類はほとんどの場合、年齢確認後すぐに削除される」と説明していた点です。7日間の保存は「すぐに削除」とは言い難いでしょう。また、この「実験」が何を検証するためのものなのか、具体的な説明は一切ありませんでした。
さらに興味深いのは、このFAQの記述がその後削除されていることです。Internet ArchiveのWayback Machineには旧版が残っていますが、現在のページからは消えています。
なぜこれが問題なのか
問題の核心は「透明性の欠如」と「データの流れ」の2点に集約されます。
まず透明性について。ユーザーは年齢認証を求められた時点で、自分のデータがどの企業に渡り、どう処理されるのかを正確に知る権利があります。しかしDiscordは当初、Personaの関与を明示していませんでした。事後的にFAQに追記し、さらにそれを削除するという対応は、信頼性を大きく損なうものです。
次にデータの流れ。顔スキャン動画やID情報といった極めてセンシティブなデータが、顔認識技術で議論を呼んでいるPalantir系の投資先に流れる構図は、プライバシーの観点から見過ごせないポイントです。
ユーザーにできる対策
現時点でDiscordの年齢認証を完全に回避する方法はありません。ただし、いくつかの対策は取れます。
一つ目は、年齢認証を求められた際に提出する情報を最小限にすること。ID認証ではなく、顔スキャンによる年齢推定を選べる場合は、そちらを検討してみてください。二つ目は、Bluetoothの個人情報漏洩リスクの記事でも触れたように、普段からデジタルプライバシーに対する意識を高めておくことが大切です。
また、Discordの公式サポートページを定期的にチェックして、ポリシーの変更を把握しておくのも重要でしょう。
まとめ
Discord×Personaの年齢認証問題は、オンラインサービスにおけるプライバシー保護のあり方を改めて考えさせられる出来事です。年齢認証自体は未成年保護のために必要な仕組みかもしれませんが、その実装方法やデータの取り扱いについては、もっと透明性が求められます。
特に監視技術とプライバシーの境界線が曖昧になりつつある今、ユーザー自身が「自分のデータがどこに流れているのか」を意識することがますます重要になってきていると感じました。
