HDDが年内分すべて売り切れという衝撃
Western Digital(WD)が「2026年の年間生産分のハードディスクドライブ(HDD)がすでに売り切れた」と発表して、業界に衝撃が走っています。原因は明確で、AIデータセンターの急速な拡大によるストレージ需要の爆発的な増加です。
正直なところ、「まだHDDの時代なの?」と思った方もいるかもしれません。しかし実際には、AIのトレーニングデータやバックアップ用途で大容量HDDの需要はむしろ増えているんですよね。SSDだけでペタバイト級のストレージを構築するとコストが跳ね上がるため、HDDはコスパの面でまだまだ現役です。
AIデータセンターがHDD需要を押し上げる仕組み
大規模言語モデル(LLM)のトレーニングには、インターネットから収集した膨大なテキスト・画像・動画データが必要になります。さらに、そのデータを何度も読み出してトレーニングを繰り返すため、ストレージの読み書き負荷は想像以上に大きいものがあります。
加えて、AIサービスが増えたことでユーザーの生成データ量も急増しています。チャットログ、画像生成の結果、音声データなど、AIが関わるすべてのインタラクションがどこかのストレージに保存されているわけです。
この状況はストレージ業界メディアでも大きく取り上げられていて、Seagateも同様の需要増を報告しています。
HDD品薄が開発者・企業に与える影響
最も直接的な影響は、データセンターの新規構築や拡張が遅れることです。HDDの納期が数ヶ月単位で延びると、クラウドサービスの拡張計画にも影響が出てきます。
一般消費者にとっても、NAS用の大容量HDDの価格上昇が懸念されます。すでに一部の製品で値上がりが始まっているという報告もあり、個人でデータバックアップを考えている方は早めに動いた方がいいかもしれません。
また、この状況はAIエージェント開発にも間接的な影響を与えます。開発環境のクラウドコストが上がれば、個人開発者がAIプロジェクトに取り組むハードルも上がるからです。
SSDは代替になるのか
結論から言うと、完全な代替は難しい状況です。確かにSSDの価格は年々下がっていますが、TB単価で比較するとHDDにはまだ勝てません。特にデータセンター規模では、数十PBのストレージをSSDだけで構築するのは予算的に非現実的です。
ただし、ホットデータ(頻繁にアクセスするデータ)にはSSD、コールドデータ(保存が主目的)にはHDDという使い分けが一般的なので、今回の品薄はコールドストレージ側の問題が大きいと言えます。
HDD技術の進化も続いている
需要増に応えるため、Western DigitalやSeagateはHDDの大容量化を急ピッチで進めています。HAMR(熱アシスト磁気記録)やSMR(瓦記録方式)といった技術により、1台のHDDで30TBを超える製品が登場しつつあります。
とはいえ、製造ラインの増強には時間がかかります。半導体不足が落ち着いたと思ったら今度はHDD不足という展開は、テクノロジー業界の供給チェーンの脆弱性を改めて浮き彫りにしていますね。
まとめ
AIブームがストレージ市場を直撃した形です。GPU不足に続いてHDD不足という流れは、AIの普及が想定以上のペースで進んでいることの裏付けとも言えるでしょう。
ストレージの確保を検討している方は、AWSのEC2でネステッド仮想化が使える話なども参考に、クラウドとオンプレミスのバランスを見直してみるのも一つの手かもしれません。
