大規模言語モデル(LLM)は優秀ですが、最新情報や社内データには対応できません。そこで注目されているのがRAG(検索拡張生成)です。RAGとは、外部データベースから情報を検索し、その結果をもとにAIが回答を生成する仕組みです。つまり、AIの知識を動的に拡張できる画期的な技術なのです。

RAG(検索拡張生成)の3ステージパイプライン

RAGは大きく3つのステージで構成されます。まず第1ステージは「検索」です。具体的には、ユーザーの質問をベクトル化して、データベースから関連文書を探します。また、この検索にはセマンティック検索が使われます。そのため、単純なキーワード一致ではなく、意味的に近い情報を取得できるのです。

第2ステージは「プロンプト組み立て」です。検索で取得した文書をLLMへのプロンプトに組み込みます。さらに、関連度の高い順にソートして、コンテキストウィンドウに収まるよう調整します。特に、不要な情報を除外するフィルタリングも重要な工程です。

第3ステージは「生成」です。LLMが検索結果を参考にしながら回答を作ります。したがって、学習データにない最新情報も正確に回答できます。しかも、根拠となる文書を明示できるため、ハルシネーションの抑制にもつながります。

RAG実装に必要なベクトルデータベース

RAGの実装にはベクトルデータベースが欠かせません。たとえば、FAISSはMeta社が開発したオープンソースのライブラリです。また、PineconeやWeaviateなどのクラウド型サービスも人気があります。なお、選定基準としてはデータ量や検索速度、コストなどを考慮する必要があります。

ベクトルデータベースに格納する前に、文書の「チャンキング」が必要です。具体的には、長い文書を適切なサイズの断片に分割する処理です。さらに、チャンクサイズの設定が検索精度に大きく影響します。実際、小さすぎると文脈が失われ、大きすぎるとノイズが増えるという問題があります。

GraphRAGへの進化と2026年の最新動向

2026年現在、RAGはGraphRAGへと進化しています。特に、ナレッジグラフとRAGを組み合わせた手法が注目されています。一方、従来のRAGは単純な類似度検索に頼っていました。しかし、GraphRAGではエンティティ間の関係性も考慮するため、より高度な推論が可能です。

加えて、Agentic RAGという概念も登場しています。これはAIエージェントが自律的に検索戦略を最適化するアプローチです。たとえば、最初の検索で十分な情報が得られなかった場合、クエリを自動的に書き換えて再検索します。このように、RAG技術は急速に進化を続けています。そのため、最新の動向を把握しておくことが重要です。

RAG導入時の注意点とまとめ

RAGを導入する際にはいくつかの注意点があります。まず、データの品質管理が最も重要です。また、定期的なインデックス更新も欠かせません。さらに、検索結果の評価指標(Recall、Precision)を設定してモニタリングすることが推奨されます。とはいえ、基本的なRAGパイプラインの構築自体はLangChainなどのフレームワークで比較的簡単に始められます。だからこそ、まずは小規模なPoC(概念実証)から着手するのがおすすめです。