Qwen3.5が登場した背景
2026年2月、Alibabaのクラウド部門が新しいAIモデルシリーズ「Qwen3.5」を発表しました。これまでのQwenシリーズとは異なり、テキストと画像の処理を最初から統合した「ネイティブマルチモーダル」モデルとして設計されているのが最大の特徴です。
従来のAIモデルは、テキスト処理用のモデルと画像処理用のモデルを後から組み合わせるアプローチが主流でした。しかしQwen3.5では、数兆トークン規模のマルチモーダルデータで最初からトレーニングを行う「アーリーフュージョン」方式を採用しています。その結果、テキストだけの性能を落とすことなく、視覚的な理解力も同時に獲得できたとのことです。
Qwen3.5のモデル構成と技術的な特徴
フラッグシップモデルの「Qwen3.5-397B-A17B」は、397Bパラメータのうち実際に推論時に使うのは17BというMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用しています。つまり、巨大な知識を持ちながらも推論コストを抑えられる設計になっているんですね。
ベンチマーク結果を見ると、推論・コーディング・エージェント能力・マルチモーダル理解の全領域で高い成績を記録しています。特に注目すべきは、テキスト専用のQwen3と同等以上の性能を維持しつつ、画像理解でもQwen3-VLシリーズを上回っている点です。一つのモデルで両方をカバーできるのは、開発者にとってかなり便利だと感じました。
Qwen3.5のエージェント機能が注目される理由
モデル名のサブタイトルに「Towards Native Multimodal Agents」とある通り、Qwen3.5はAIエージェントとしての活用を強く意識して設計されています。エージェントとは、AIが自律的にツールを使ったり、複数のステップを踏んで問題を解決する仕組みのことですね。
たとえば、画面のスクリーンショットを見て操作を判断したり、Webブラウジングをしながら情報を収集するといったタスクを、一つのモデルでこなせるようになります。これまではテキスト用モデルとビジョンモデルを別々に呼び出す必要があったので、処理の効率化やコスト削減につながりそうです。
関連記事として、AIエージェントハーネスの設計パターンも参考になるかもしれません。エージェントの「つなぎ方」がモデル性能と同じくらい重要だという話をまとめています。
オープンソースで使えるという強み
Qwen3.5はGitHubで公開されており、Hugging Faceからもダウンロード可能です。Apache 2.0ライセンスで商用利用もOKとなっています。
小型バージョンも用意されているので、ローカル環境で動かしたい開発者にも選択肢があるのは嬉しいポイントです。ただし、フルサイズの397Bモデルを動かすにはかなりのGPUリソースが必要になるので、実際に使う場合はAPIサービス経由が現実的かもしれません。
競合モデルとの比較
2026年初頭の時点で、マルチモーダルAIモデルの競争は激化しています。xAIのGrok、OpenAIのGPT-5シリーズ、GoogleのGemini 3など、各社がしのぎを削っている状況です。
その中でQwen3.5の立ち位置は「オープンソースで最強クラスのマルチモーダルモデル」というところでしょうか。LlamaやMistralといったオープンモデルとも競合しますが、ネイティブマルチモーダルというアプローチは一歩先を行っている印象を受けました。
まとめ
Qwen3.5は「テキストと画像を最初から統合したAI」という方向性を明確に示したモデルです。エージェント用途を強く意識した設計、オープンソースでの公開、そして高いベンチマーク性能と、注目すべきポイントが多いモデルだと感じます。
AIエージェントの活用を検討している方や、マルチモーダルAIの最新動向を追いかけている方は、ぜひMCPサーバー開発入門もあわせて読んでみてください。実際にAIエージェントにツールを追加する方法がまとまっています。
