Passkeys(パスキー)とは何か
Passkeys(パスキー)は、パスワードに代わる新しい認証方式です。FIDO Allianceが策定した規格で、Apple・Google・Microsoftが共同で推進しています。指紋認証や顔認証といった生体認証、あるいはデバイスのPINコードを使ってログインする仕組みで、従来のパスワードを完全に不要にする技術として注目されています。
「パスワードを覚えなくていい」というだけでなく、フィッシング詐欺にも強いのが大きな特徴。パスキーはドメインに紐づいた暗号鍵ペアを使うので、偽サイトに誘導されても認証情報が漏れる心配がないんですよね。
パスキーの仕組み
パスキーの技術的な仕組みをもう少し詳しく見ていきましょう。
公開鍵暗号方式がベース
パスキーは、FIDO2/WebAuthn規格に基づいた公開鍵暗号方式を採用しています。アカウント登録時に、デバイス上で秘密鍵と公開鍵のペアが生成されます。秘密鍵はデバイスのセキュアエンクレーブ(TPMやSecure Enclaveなど)に保存され、公開鍵だけがサーバーに送られます。
ログイン時には、サーバーがチャレンジ(ランダムなデータ)を送信し、デバイスが秘密鍵で署名して返す。サーバーは公開鍵で署名を検証する—というシンプルな流れです。秘密鍵がデバイスの外に出ることはないので、サーバーが漏洩しても認証情報は安全なまま。
クロスデバイス同期
「デバイスを紛失したらどうなるの?」という疑問は当然ですよね。現在は、Apple(iCloud Keychain)、Google(Google Password Manager)、Microsoft(Windows Hello)がそれぞれのエコシステム内でパスキーを同期する仕組みを提供しています。iPhoneで作ったパスキーは、MacやiPadでもそのまま使えるということです。
2026年に入って、1PasswordやBitwardenなどのサードパーティ製パスワードマネージャーもパスキーの保存・同期に対応。OS間の壁もかなり低くなってきました。
2026年の対応状況
パスキーの普及は着実に進んでいます。主要な対応サービスを見てみましょう。
Google、Apple、Microsoft、Amazon、GitHub、PayPal、Nintendo、Adobe、X(Twitter)、LinkedIn、TikTok、Yahoo! JAPAN—この辺りはすでにパスキー対応済みです。日本国内でもYahoo! JAPANが積極的に推進しており、対応サービスは200を超えています。
Discordも2025年後半からパスキーに対応し、プライバシーを重視するユーザーからは好意的に受け止められています。
パスキーのメリットとデメリット
メリット
フィッシング耐性が高いのが最大の利点です。パスキーはオリジンに紐付いているため、フィッシングサイトでは認証が発動しません。また、パスワードの使い回しという問題自体がなくなります。
ユーザー体験も向上します。指紋をタッチするだけでログインが完了するので、長いパスワードを入力する手間がありません。
デメリット・課題
まだ課題もあります。まず、エコシステム間の移行が完全にはスムーズではない点。AppleからAndroidに乗り換える場合、パスキーの移行には追加の手順が必要なケースがあります。
また、共有デバイスでの運用も悩ましいところ。家族で1台のPCを共有している場合、誰の生体認証でログインするかという問題が発生します。
パスキーの設定方法
Googleアカウントの場合
Googleでパスキーを設定するのはとても簡単です。Googleアカウントのセキュリティ設定にアクセスし、「パスキー」を選択。デバイスの生体認証で確認すれば設定完了です。次回以降、パスワードなしでログインできるようになります。
GitHubの場合
Settings → Password and authentication → Add a passkey から設定できます。開発者にとっては、SSHキーの管理に加えてパスキーも使えるようになるのは嬉しい進化ですね。
パスワードマネージャーとの関係
「パスキーが普及したら、パスワードマネージャーは不要になるの?」と思う方もいるかもしれませんが、実際にはそうはなりません。まだパスキー未対応のサービスは多いですし、パスキーの保存・管理にパスワードマネージャーが使われるケースも増えています。
プロトコルファースト思考の観点からも、特定のエコシステムに依存しないサードパーティ製のパスキー管理ツールを使うのが賢い選択でしょう。
まとめ
パスキーは、パスワード時代の終わりを告げる技術として確実に普及が進んでいます。フィッシング耐性の高さ、ユーザー体験の良さを考えると、対応サービスでは積極的に切り替えていくのがおすすめ。まだ設定していない方は、まずGoogleやApple IDから始めてみてはいかがでしょうか。
