「メモを取っているのに、いざ必要なときに見つからない」「情報がバラバラに散らばっていて、知識として活用できていない」——こういった悩みを抱えている方は少なくないと思います。
実はこのテーマ、ある情報販売プラットフォームで有料教材として販売されているのを見かけました。内容を確認してみたところ、正直なところ「この情報でお金を取るのはちょっと違うのでは」と感じたんですよね。なので、自分で徹底的に調べて、無料で記事にしてみました。
Obsidianとは?なぜ「第二の脳」と呼ばれるのか
Obsidianは、ローカルファイル(Markdown形式)ベースのナレッジ管理ツールです。2020年にリリースされて以来、PKM(Personal Knowledge Management)の世界で急速に支持を集めてきました。一方で、NotionやEvernoteのようなクラウド型ツールとは根本的に異なるアプローチを取っているのが特徴です。
最大のポイントは「双方向リンク」の仕組みにあります。ノート同士を[[リンク]]で結びつけることで、情報がネットワーク状に広がっていきます。これが人間の脳のシナプス結合に似ていることから、「第二の脳(Second Brain)」と呼ばれるようになりました。
しかも、データはすべて自分のPC上にMarkdownファイルとして保存されます。サービスが終了しても、データが人質に取られることがないんですよね。これはクラウド型のコンテンツ管理ツールとは大きく異なるメリットだと感じています。
PKM(パーソナルナレッジマネジメント)の基本的な考え方
ツールの話に入る前に、PKMそのものの考え方を整理しておきます。とはいえ、難しい話ではありません。
PKMの核心は「収集→整理→接続→活用」のサイクルです。情報をただ集めるだけでは意味がなくて、それを自分の言葉で咀嚼し、既存の知識と結びつけ、アウトプットに活かすところまでがセットになります。
たとえば、技術記事を読んで「面白いな」と思ったとします。そのままブックマークして終わりにするのと、自分なりに要約して既知の概念と関連づけてメモに残すのとでは、数ヶ月後の「使える度」がまるで違ってくるわけです。
Zettelkasten(ツェッテルカステン)メソッドとObsidianの相性
Obsidianを語る上で外せないのが、Zettelkastenというメソッドです。ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが実践していた方法で、小さなカード(ツェッテル)に1つのアイデアを書き、カード同士をリンクで結びつけていくやり方ですね。
ルーマンはこの方法で生涯に70冊以上の著書と400本以上の論文を書いたと言われています。デジタル時代にこれを再現できるのがObsidianというわけです。
具体的な実践方法としては、以下の3種類のノートを使い分けるのがおすすめです。
- フリートノート(Fleeting Notes):思いついたことをすぐにメモする一時的なノート。後で整理するか捨てるかを判断します
- リテラチャーノート(Literature Notes):本や記事を読んで、自分の言葉でまとめたノート。引用元も記録しておくと後で便利です
- パーマネントノート(Permanent Notes):自分の考えやアイデアを1ノート1概念で書いた、長期保存するノート。これがナレッジベースの核になります
Obsidianの初期設定と基本的な使い方
では、具体的にObsidianを使い始める手順を見ていきます。インストール自体は公式サイトからダウンロードするだけなので、5分もかかりません。
まず「Vault(ボルト)」を作成します。これはObsidianがノートを管理するフォルダのことで、PC上の任意の場所に作れます。個人的にはDropboxやiCloud Driveの中に作っておくと、複数デバイス間で同期できて便利だと感じました。
フォルダ構成は最初からガチガチに決めなくて大丈夫です。むしろ、Obsidianの思想は「フォルダ階層よりもリンクで整理する」なので、以下のようなシンプルな構成で始めるのが良さそうです。
00-Inbox:取り込んだばかりの未整理ノート10-Projects:進行中のプロジェクト関連20-Areas:継続的に関心のある分野30-Resources:参考資料・リファレンス90-Archive:完了したプロジェクト等
これはTiago ForteのPARAメソッドを参考にした構成ですが、自分に合わなければどんどん変えてしまって構いません。
おすすめプラグインで生産性を引き上げる
Obsidianのコミュニティプラグインは2,000個以上あります。全部入れる必要はまったくなくて、まずは以下の5つから始めてみるのがおすすめです。
- Dataview:ノートをデータベースのようにクエリで検索・集計できるプラグイン。タスク管理にも使えます
- Templater:テンプレート機能を強化してくれるプラグイン。日次ノートや読書ノートの型を作っておくと効率が上がります
- Calendar:デイリーノートをカレンダー形式で管理できるプラグイン。日記的な使い方との相性が抜群です
- Excalidraw:手書き風の図をノート内に描けるプラグイン。アイデアの視覚化に重宝します
- Quick Add:ショートカットから素早くノートを作成・追記できるプラグイン。フリートノートの取り込みが楽になります
ちなみに、Napkin AIのようなツールと組み合わせれば、テキストから自動で図解を生成してObsidianに取り込む、といった使い方もできます。
AIとObsidianを組み合わせるとさらに強力になる
2026年現在、ObsidianとAIを組み合わせた活用法が注目を集めています。具体的には、以下のようなアプローチが実用レベルに達してきました。
- Smart Connectionsプラグイン:ノート間の意味的な関連性をAIが自動で発見してくれます。自分では気づかなかった知識の繋がりが見えてくるのは、なかなか面白い体験です
- Copilot for Obsidian:ノートの内容に基づいてAIとチャットできるプラグイン。「この分野で自分が書いたノートを要約して」といった使い方ができます
- 外部API連携:ObsidianのノートをRAGの知識ベースとして使い、検索拡張生成(RAG)に組み込む方法も広がっています
特にSmart Connectionsは、ノートが100個を超えたあたりから真価を発揮する印象です。自分のナレッジベースが大きくなればなるほど、AIが見つけてくれる繋がりの価値も高まっていきます。
NotionやEvernoteとの比較:Obsidianを選ぶ理由
「NotionやEvernoteでもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。確かに、どのツールにもそれぞれの良さがあります。ただ、PKMの観点からObsidianが優位だと感じるポイントがいくつかあります。
- データの所有権:Obsidianはローカルファイルなので、ベンダーロックインが一切ありません。Evernoteの過去の値上げやNotion のサービス変更を思い出すと、ここは結構大きいです
- 速度:ローカル動作なので、ノートが数千個になっても検索やリンク解決が高速です。クラウド型だとこの規模では重くなりがちですよね
- カスタマイズ性:CSSでの見た目変更からプラグインによる機能拡張まで、自由度が段違いです
- プライバシー:データがクラウドに上がらないので、機密性の高い情報も安心して管理できます
一方で、Obsidianは初期設定の手間がかかるのと、リアルタイム共同編集ができないというデメリットもあります。チーム利用ならNotionのほうが向いている場面もありそうです。
実践的なワークフロー:毎日5分から始める
最後に、実際の運用ワークフローを紹介します。いきなり完璧なシステムを作ろうとすると挫折するので、まずは以下の「毎日5分」ルーティンから始めてみてください。
- 朝(2分):デイリーノートを作成。今日やることを簡単に書き出します
- 日中(随時):気になったことをInboxフォルダにフリートノートとして投げ込みます
- 夜(3分):Inboxを確認。残す価値があるものはパーマネントノートに昇格させ、既存ノートとリンクを張ります
このサイクルを2〜3週間続けると、グラフビュー(ノート間の関係性を可視化する画面)にネットワークが見え始めます。この瞬間、「第二の脳」の感覚がリアルに実感できるはずです。
まとめ
Obsidianを使ったPKMは、特別な知識がなくても無料で始められます。Zettelkastenの考え方をベースに、フリートノート→リテラチャーノート→パーマネントノートの流れを意識するだけで、情報が「使える知識」に変わっていく実感が得られると思います。
有料教材を買わなくても、Obsidian公式サイトと公式ヘルプ、そしてコミュニティの情報で十分に実践できます。まずはVaultを作って、1つ目のノートを書くところから始めてみてはいかがでしょうか。
