MetaがCrowdTangleを廃止、偽情報追跡ツールの影響
ジャーナリストや研究者、政治家たちは、MetaがCrowdTangleを閉鎖したことを悲しんでいます。CrowdTangleは、FacebookやInstagram上での偽情報の広がりを追跡するために使用されていました。しかし、CrowdTangleの代わりにMetaが提供しているのはContent Libraryです。このツールは、「科学的または公共の利益に関する研究を追求している資格のある学術機関または非営利団体」の人々に限られています。そのため、多くの研究者やジャーナリストはこのツールにアクセスできません。
使用者の不満と抗議
Content Libraryを使用している多くの人々は、透明性が欠け、機能が少なく、ユーザー体験が劣っていると報告しています。これに対して、コミュニティ内ではMetaに抗議の公開書簡を書く人々が増えています。彼らは、今後のアメリカ史上最も物議を醸す選挙を控えたこの時期に、なぜ有用なツールを廃止したのか疑問視しています。また、AIのディープフェイクやチャットボットによる偽情報が広がっている中で、Meta自身のチャットボットが発信源であることも問題視されています。
Metaの説明と反発
Metaは、この決定に関する多くの回答を提供していません。MITテクノロジーレビューの会議で、Metaのグローバル政策担当社長ニック・クレッグ氏は、CrowdTangleを「劣化したツール」と呼び、Facebook上での出来事に関する完全かつ正確な洞察を提供していないと述べました。彼は、CrowdTangleは「特定の形のエンゲージメントの狭いケーキのスライスしか測定しない」と指摘しました。
一方で、MetaはContent LibraryがFacebookやInstagram上で人々が実際に見るものや体験するものについて、より詳細な洞察を提供すると主張しています。Metaの広報担当者は、新しいツールがより包括的なデータ収集体験を提供すると述べ、Reelsやページビュー数のマルチメディアも含むと説明しました。
CrowdTangleの有用性と限界
しかし、CrowdTangleを使い慣れた研究者たちは、Metaの主張に異を唱えています。彼らは、エンゲージメントの高いアカウントは影響力があるため、データを得るために必要だと指摘します。National Conference on CitizenshipのCEOであるキャメロン・ヒッキー氏は、MCL(Meta Content Library)はCrowdTangleの「10%の使いやすさしかない」と述べ、CrowdTangleがFacebookに買収される前は「洗練された準商業製品」であったと説明しています。
データアクセスの制限と影響
MCLのもう一つの問題は、過去にCrowdTangleを使用して偽情報の広がりを追跡していた監視団体にアクセスが与えられていないことです。メディア・マターズという非営利団体は、MCLへのアクセスがないと述べています。同団体は、過去にCrowdTangleを使い、右派メディアや共和党の主張に反してFacebookが保守的な情報を検閲していないことを示しました。
このように、CrowdTangleの廃止は、選挙年におけるFacebookやInstagramでの動向を監視する市民社会団体の能力を低下させる結果となるでしょう。