2024年8月、Metaが重要なツールを廃止しました。「CrowdTangle」という名のサービスです。偽情報やフェイクニュースの拡散を追跡できるツールでした。しかし、多くのジャーナリストや研究者が反対する中、MetaはCrowdTangleを閉鎖しました。なぜMetaはこの決断に至ったのでしょうか。代替手段とともに詳しく解説します。
CrowdTangleとは何だったのか
CrowdTangleはSNS分析ツールです。FacebookやInstagramの投稿の拡散状況を追跡できました。2016年にMetaが買収した企業が開発したものです。当初はメディア向けの分析ツールでした。しかし、次第に偽情報対策の重要なツールになりました。
具体的には、どの投稿がバイラルになっているかが分かりました。また、どのグループが情報の拡散に貢献しているかも見えました。さらに、政治的な偽情報の流れも追跡できました。つまり、SNS上の情報の動きを可視化するツールだったのです。
特にコロナ禍では重要な役割を果たしました。ワクチンに関する偽情報の拡散を監視できたからです。また、2020年のアメリカ大統領選挙でも広く活用されました。このように、民主主義や公衆衛生を守る上で欠かせない存在でした。
MetaがCrowdTangleを廃止した理由
では、なぜMetaはこの有用なツールを廃止したのでしょうか。Metaの公式見解は「老朽化したツールだから」です。Nick Clegg氏は「劣化しているツール」と表現しました。しかし、批判者はこの説明に納得していません。
実際には、CrowdTangleがMetaにとって不都合な真実を明らかにしてきたからだと指摘されています。たとえば、偽情報がFacebook上でどれだけ拡散しているかが可視化されます。これはMetaのブランドイメージにとってマイナスです。さらに、規制当局がこのデータを根拠にMetaを批判することもありました。
なぜなら、Metaはプラットフォーム上の問題を小さく見せたいからです。CrowdTangleは逆にその問題を目立たせてしまいます。だからこそ、廃止という判断に至ったと考えられています。特に2024年のアメリカ大統領選挙の直前というタイミングが批判を強めました。
代替ツール「Meta Content Library」の問題点
Metaは代替として「Meta Content Library(MCL)」を提供しています。しかし、批判者からは「機能の1%しかない」と酷評されています。まず、アクセスが制限されています。CrowdTangleは誰でも使えました。しかし、MCLは学術機関と非営利団体のみが対象です。
つまり、ジャーナリストは使えないのです。これは大きな後退です。また、リアルタイムの拡散追跡機能もありません。さらに、バイラルコンテンツの特定も困難になりました。そのため、偽情報の早期発見が難しくなっています。
しかも、申請から承認までに時間がかかります。研究者からは「使い勝手が大幅に悪化した」との声が出ています。このように、MCLはCrowdTangleの代替としては不十分だと評価されています。
CrowdTangle廃止が社会に与える影響
CrowdTangleの廃止は選挙報道に影響を与えています。実際、2024年の米大統領選では偽情報の追跡が困難になりました。また、公衆衛生に関する偽情報の監視も弱体化しています。特に新興感染症が発生した場合のリスクが懸念されます。
さらに、学術研究にも支障が出ています。SNSの情報拡散を研究するデータが入手しにくくなったのです。とはいえ、Metaだけを批判するのは公平ではないかもしれません。X(旧Twitter)もAPI制限を厳しくしています。このように、SNS全体で透明性が低下する傾向にあります。
偽情報対策の今後と代替手段
それでも、偽情報対策の取り組みは続いています。たとえば、独立系のファクトチェック団体が活動しています。また、EUのデジタルサービス法はプラットフォームに透明性を義務づけています。さらに、大学の研究チームが独自の分析ツールを開発しています。
ただし、プラットフォーム企業の協力なしには限界があります。要するに、SNS上のデータへのアクセスが鍵なのです。だからこそ、法規制による透明性の確保が重要になっています。CrowdTangleの廃止は、テック企業と公共の利益の間にある緊張関係を象徴する出来事です。
