Metaが6500万ドルをAI規制関連の選挙資金に投入
2026年2月、The Vergeなどの報道によると、MetaがAI関連の立法に影響を与えるために、少なくとも6500万ドル(約97億円)の選挙資金を投入する計画であることが明らかになりました。
具体的には、共和党向けの「Forge the Future Project」と民主党向けの新しいスーパーPAC(政治活動委員会)の2つを設立し、超党派的にAI規制の方向性に働きかける狙いがあります。
なぜMetaはAI規制を恐れるのか
MetaはLlamaシリーズのオープンソースLLMを積極的に公開しており、AI開発ではオープンソース路線を推進する立場を取っています。しかし、AIの安全性や著作権に関する規制が厳しくなると、オープンソースモデルの公開自体が制限される可能性があるんですよね。
特に2025年にカリフォルニア州で提出されたSB 1047のような法案は、大規模AIモデルの開発者に安全性テストや報告義務を課す内容でした。結局この法案は知事が拒否権を行使して不成立に終わりましたが、類似の法案が各州で提出され続けています。
Metaにとっては、こうした規制がLlamaのオープンソース戦略を直接的に脅かすため、政治的な関与が必要だと判断したと考えられます。
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テック企業のロビー活動は珍しくない
テック企業が政治に資金を投じること自体は以前からあります。GoogleやAmazonも毎年数千万ドル規模のロビー活動費を計上しており、規制環境の形成に積極的に関与してきました。
ただし、MetaのケースはAI規制に特化したスーパーPACの設立という点で一歩踏み込んだ動きだと言えます。スーパーPACは特定の候補者を直接支援できないものの、広告やキャンペーンを通じて世論を形成する力を持っています。
AI規制をめぐる賛否
AI規制の議論は大きく2つの立場に分かれています。
規制推進派は、AIの急速な発展に法整備が追いついていないと主張しています。ディープフェイク、著作権侵害、雇用への影響など、具体的なリスクが顕在化しつつある中で、早期のルール作りが必要だという立場です。
規制慎重派は、過剰な規制がイノベーションを阻害し、米国のAI競争力を損なうと懸念しています。特にオープンソースAIの開発が制限されれば、大企業だけがAI開発を独占する結果になりかねないという議論があります。
MetaはLlamaをオープンソースで公開している立場から、後者の主張と利害が一致しています。ただし、自社の利益のためにAI安全性の議論を後退させるという批判は免れないでしょう。
日本への影響
米国のAI規制は、グローバルなAI開発の方向性に大きな影響を与えます。EUのAI規制法がすでに施行されている中で、米国がどのような立場を取るかは日本の政策にも波及する可能性があります。
日本はAI規制について比較的柔軟な姿勢を取っていますが、米国やEUの動向次第では方針の見直しが求められる場面も出てくるかもしれません。
まとめ
Metaの6500万ドルのAI規制ロビー活動は、テック企業がAIの未来をどれほど重要視しているかを示しています。オープンソースAIの推進と規制のバランスは、今後数年のAI業界を左右する重要なテーマになりそうです。
企業の利益と公共の安全のどちらを優先するかという問いに、簡単な答えはありません。しかし、議論の透明性を確保することが、健全なAI政策の形成には不可欠だと感じています。
