ある日、情報商材プラットフォームを眺めていたら「Antigravityの教科書」なる有料記事を見かけました。価格は1,480円。中身を確認してみると、Google Antigravity IDEの基本的な使い方がまとめられている内容でした。

正直なところ、この内容でお金を取るのはちょっと厳しいなと感じたんですよね。公式ドキュメントやWikipedia、各種テックメディアで普通に手に入る情報ばかりだったので。というわけで、自分で徹底的に調べて無料記事にしてみました。

Google Antigravity IDEとは何か

Google Antigravityは、2025年11月にGemini 3と同時に発表された、Googleの次世代AI開発環境です。一見するとVS Codeに似たインターフェースなんですが、根本的な設計思想がまったく異なります。

従来のAIコーディングツール、たとえばCursorやGitHub Copilotは「開発環境の中にAIがいる」という構造でした。一方でAntigravityは「AIエージェントの中に開発環境がある」という逆転の発想で作られています。この違いが結構大きいんですよね。

Googleはこのアプローチを「エージェントファースト」と呼んでいます。AIが補助するのではなく、AIが主体的に開発を進めて、人間は指揮官のような立ち位置になるイメージです。

Antigravityの2つの画面:EditorとManager

Antigravityの最大の特徴は、2つのインターフェースを持っている点だと感じました。「Editor View」と「Manager View」の2つです。

Editor View:従来型のAI搭載IDE

Editor Viewは、VS Codeに慣れている人ならすぐに馴染める画面構成になっています。ただし、AIアシスト機能がかなり強化されていて、ファイル全体にまたがるコード補完(Supercomplete)や、次に編集すべき箇所へ自動ジャンプする「Tab-to-Jump」といった機能が搭載されています。

サイドパネルにはチャット型のAIアシスタントがいて、自然言語で指示を出しながらコードを書けます。ここまでは正直、Cursorとそこまで大きな差はないかもしれません。

Manager View:エージェント管制塔

Antigravityの真骨頂はManager Viewの方にあります。ここでは複数のAIエージェントを同時に動かして、それぞれに異なるタスクを任せることができます。

たとえば、あるエージェントにはバグ修正を任せ、別のエージェントにはテストコードの作成を依頼し、さらに別のエージェントにはドキュメント生成をさせる。そんな使い方が可能です。エージェントは裏側で非同期に動くので、自分は別の作業に集中できます。

Cmd+E(Mac)またはCtrl+E(Windows/Linux)で、Editor ViewとManager Viewをいつでも切り替えられるのも地味に便利なポイントですね。

Antigravityの4つの設計思想

Googleが公式に掲げている設計思想(Tenets)は4つあります。それぞれ見ていきましょう。

Trust(信頼)

AIに作業を任せる上で一番の壁は「裏で何をやっているかわからない」という不安です。Antigravityでは、エージェントの作業を「Artifacts(成果物)」として可視化します。実装計画書、タスクリスト、スクリーンショット、ブラウザ録画など、人間が確認しやすい形でプロセスが提示されます。

Autonomy(自律性)

エージェントはエディタだけでなく、ターミナルやブラウザも自律的に操作できます。コードを書いてサーバーを立ち上げ、ブラウザで動作確認して、エラーがあれば修正するところまで一気通貫で処理してくれます。これは実際に使ってみると、かなりインパクトがありそうですね。

Feedback(フィードバック)

エージェントの作業を止めずに、途中でフィードバックを入れられる仕組みも整っています。実装計画にコメントを入れたり、スクリーンショットの特定箇所を指して修正指示を出したりできるのは、実用的だと感じました。

Self-improvement(自己改善)

使えば使うほど、エージェントがチームの開発スタイルを学習していく仕組みです。ナレッジベースに過去の作業が蓄積されて、類似タスクの精度が上がっていくとのこと。長期的に使い込むほど価値が出てくるタイプのツールですね。

Antigravityの対応モデルと料金

Antigravityが搭載しているAIモデルは、Google自社のGemini 3シリーズだけではありません。AnthropicのClaude Sonnet 4.5やClaude Opus 4.5、さらにはOpenAIのオープンソースモデル(GPT-OSS-120B)にも対応しています。

料金については、2026年2月時点でパブリックプレビュー中のため無料で利用できます。Gemini 3 Proの利用枠もかなり余裕がある設定になっているようです。ただし、正式リリース後の料金体系はまだ発表されていないので、今のうちに試しておくのが良さそうです。

Antigravityのインストール方法

インストール自体はシンプルです。公式サイトからダウンロードするだけで、Windows、macOS、Linuxに対応しています。

  • Windows: 64-bit Windows 10以降
  • macOS: Monterey 12以降
  • Linux: 64-bit、glibc 2.28以降

デフォルトでは英語UIですが、VS Code同様に日本語拡張機能をインストールすれば日本語化も可能です。設定画面から「Extensions」を開いて「Japanese Language Pack」を検索、インストールして再起動すれば完了します。

CursorやCopilotとの違い

既存のAIエージェント開発プラットフォームとの比較で言うと、Antigravityの差別化ポイントは明確です。

Cursorは優秀なAI補助つきエディタですが、あくまで「人間がコードを書く」前提のツール。GitHub Copilotも同様で、人間の入力を予測して補完する方向に特化しています。

それに対してAntigravityは、人間が指示を出してAIが実行するという構図を前面に押し出しています。Manager Viewで複数エージェントを管理できる点は、他のツールにはない独自の価値だと思います。

ただし、VS CodeのフォークなのかWindsurfのフォークなのかという議論もあって、技術的なルーツについては少し曖昧な部分も残っています。

実際に使ってみて感じたこと

率直に言って、Manager Viewのコンセプトは面白いなと感じました。複数のエージェントを並行して走らせるという発想は、大規模プロジェクトでの開発効率を大きく変える可能性がありそうです。

一方で、まだプレビュー段階なので安定性には課題があります。また、エージェントに任せきりにすると意図しない方向に進むこともあるので、Artifactsの確認は欠かさない方がいいですね。

個人的には、Editor View単体で使うならCursorでも十分だと思います。Antigravityの真価はManager Viewにあるので、複数タスクを同時に回したい場面で試してみる価値がありそうです。

まとめ

Google Antigravityは「エージェントファースト」という新しいパラダイムを提案するIDEです。Editor ViewとManager Viewの2つの画面を持ち、特にManager Viewでの複数エージェント管理は他にない特徴だと感じました。

現在はパブリックプレビューで無料なので、興味がある方は今のうちに公式サイトから試してみるのが良いかと思います。有料教材を買わなくても、この記事と公式ドキュメントで十分キャッチアップできるはずです。

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