2026年2月13日、GitHubがリポジトリの設定に「Pull Requestを無効化」できるオプションを追加しました。GitHubにとってPull Requestは創業以来の根幹機能なので、これはかなり思い切った判断だと思います。

背景にあるのは、AIエージェントによる低品質PRの急増です。実際にこの機能を使う場面や設定方法について、整理してみました。

なぜPull Request無効化が必要になったのか

ここ数ヶ月、OSSリポジトリに対するAI生成PRが急増しています。AIコーディングエージェントのユーザーが、コードの内容を十分に理解しないままPRを送ってくるケースが後を絶ちません。

curlの開発者Daniel Stenberg氏は、バグ報奨金プログラムを廃止するほどAIスロップに悩まされました。300以上のリポジトリを持つJeff Geerling氏も「AI生成PRの増加でメンテナンスコストが跳ね上がった」とブログで報告しています。

GitHub Pull Request無効化の設定方法

GitHubの公式アナウンスによると、この機能はリポジトリの「Settings」→「General」から設定できます。

具体的には、以下のオプションが追加されました。

・Pull Requestの作成を完全に無効化する
・特定の権限レベル(Collaborator以上など)のユーザーのみPR作成を許可する
・新規コントリビューターからのPRに追加の承認ステップを要求する

個人的には、完全無効化よりも「権限レベルでの制限」が現実的な使い方だと感じます。OSSの良さはオープンな貢献にあるので、完全に閉じてしまうのは本末転倒ですからね。

この機能が影響するプロジェクトの種類

すべてのリポジトリでこの設定が必要かというと、そうではありません。主に影響を受けるのは以下のようなプロジェクトでしょう。

まず、curlやmatplotlibのような広く使われているインフラ系OSS。これらは知名度が高いため、AIエージェントのターゲットになりやすいです。次に、バグ報奨金プログラムを持つプロジェクト。金銭的インセンティブがあると、AIスロップが集まりやすくなります。

逆に、ニッチなライブラリや個人プロジェクトでは、現時点ではそこまで深刻な問題にはなっていない印象です。

PR無効化以外の対策

GitHubの新機能は一つの対策ですが、他にもいくつかのアプローチが議論されています。

CLA(Contributor License Agreement)の強化は、PRを送る前に同意書への署名を求めることで、カジュアルなAIスロップを抑止する効果があります。また、PR テンプレートに「AIツールの使用有無」を明記させるプロジェクトも増えてきました。

MCPのようなAIエージェント基盤が普及するにつれ、この問題はさらに深刻化する可能性があります。プラットフォーム側とプロジェクト側の両方で、対策を進めていく必要がありそうです。

開発者コミュニティの反応

Hacker Newsでの議論を見ると、反応は概ね「必要な機能だ」という肯定的なものが多かったです。ただし、「OSSの理念に反する」「新規コントリビューターの参入障壁が上がる」という懸念の声もありました。

個人的には、この機能は「使うかどうかを選べる」というオプションである点が重要だと思います。すべてのリポジトリに強制されるわけではないので、各プロジェクトが自分たちの状況に合わせて判断できるのは良い設計ですね。

まとめ

GitHub Pull Request無効化機能は、AIスロップの増加という新しい課題に対するプラットフォーム側の回答です。OSSの開放性とメンテナーの負担軽減のバランスを取るための、現実的な一手だと感じました。

AIコーディングツールの進化は素晴らしいことですが、それを使ってOSSに貢献する際は、コードの品質と人間としての責任を忘れないようにしたいものです。技術の問題というより、モラルの問題なのかもしれません。