2026年はJavaScriptツールチェインの速度が大幅に向上する年になりそうです。TypeScriptのGo言語による書き直し(tsgo)が安定期に入り、OxlintやOxfmtといったRustベースのツールも実用段階に達しました。Christoph Nakazawa氏が自身のブログで紹介したツールチェインの全体像を、実践的な視点で解説します。

tsgo:型チェックが10倍速くなる

TypeScriptの公式Go実装であるtsgoは、従来のJavaScript実装と比べて約10倍の型チェック速度を実現しています。Nakazawa氏は6ヶ月間にわたり20以上のプロジェクト(1,000行から100万行規模)でtsgoを使用してきたそうです。

興味深いのは、tsgoがJavaScript版では見逃されていた型エラーを検出した点でしょう。単なる高速化だけでなく、型チェックの精度も向上しているわけです。

移行手順はシンプルで、npm install @typescript/native-previewでインストールし、tscの呼び出しをtsgoに置き換えるだけです。VS Codeの設定で"typescript.experimental.useTsgo": trueを追加すれば、エディタ上でも高速な型チェックが体験できます。

Prettier → Oxfmt:フォーマッターの世代交代

コードフォーマッターの世界では、長年Prettierが標準的な選択肢でした。Oxfmtはそのalpha時代から使い続けてきたNakazawa氏も乗り換えを決めた新世代のツールです。

Oxfmtの強みは、import文のソートやTailwind CSSのクラス並べ替えがプラグインなしで組み込まれている点にあります。JavaScript/TypeScript以外の言語についてはPrettierにフォールバックする仕組みのため、段階的な移行が可能になっています。

ESLint → Oxlint:プラグイン互換で高速リント

ESLintからの移行で最大の障壁だったのは、プラグインエコシステムの互換性でした。OxlintはESLintプラグインをNAPI-RS経由で直接実行できるため、React Compilerプラグインのような専用ルールも引き続き利用可能です。

設定ファイルもTypeScriptで記述できるようになり、extendsによる構成の共有も簡単です。さらにoxlint --type-aware --type-checkオプションでtsgoを活用した型考慮のリントも実行できます。

@nkzw/oxlint-configの設計思想

Nakazawa氏が公開した@nkzw/oxlint-configは、厳格かつ実用的なリント設定パッケージです。その設計原則は人間だけでなく、LLM(大規模言語モデル)によるコード生成の品質向上も意識しています。

  • 警告は使わずすべてエラーにする(無視されがちな警告を排除)
  • 一貫したコードスタイルの強制(モダンな言語機能を優先)
  • console.logtest.onlyの禁止でバグを予防
  • 遅いルールの回避(TypeScriptのnoUnusedLocalsを優先)
  • 主観的なルールは無効化してフリクションを最小化

GPT 5.2 Codexのテストでは、この厳格なガードレールを設定したプロジェクトのほうが、AIによるコード変換の品質が明確に向上したとのことです。

変わらず使い続けるツール

すべてを新しいツールに置き換えるわけではありません。パッケージマネージャーのpnpm、バンドラーのVite、UIフレームワークのReactは引き続き最前線にいます。ViteはRolldownの統合でさらに高速化が見込まれ、ReactはReact CompilerとAsync Reactで進化を続けている状況です。

ローカルの開発サーバーにはnodemon + ts-node + swcの組み合わせが依然として最速だとNakazawa氏は述べています。自動保存のたびにサーバーが即座にリスタートする体験は、他のツールでは再現できていないそうです。

pg-typesafeのようなTypeScriptの型安全ツールと組み合わせれば、フロントエンドからバックエンドまで一貫した型の恩恵を受けられるでしょう。Web開発の最新トレンドについては、Let’s Encrypt DNS-PERSIST-01の記事も参考になるかもしれません。

まとめ:妥協のないツールチェインへ

2026年のフロントエンド開発は、速度と機能のトレードオフを迫られなくなりつつあります。tsgoで型チェックを高速化し、Oxlintで厳格なリントを維持し、Oxfmtでフォーマットを統一する。このスタックは人間の開発体験を改善するだけでなく、AIコーディングアシスタントの出力品質も底上げしてくれます。

ツールの入れ替えは段階的に進められるので、まずはtsgoから試してみることをお勧めします。開発環境関連の記事として、Echo SSHクライアントの紹介もあわせてどうぞ。