中国のAIスタートアップDeepSeekが、コンテキストウィンドウを128,000トークンから100万トークンに拡張したというニュースが飛び込んできました。さらに、春節に合わせてV4モデルとR2モデルのリリースも予定されているとのことです。
去年DeepSeekがChatGPTを抜いてApp Storeの無料アプリ1位になった時はかなり衝撃的でしたが、それからわずか1年でここまで進化しているのは正直驚きました。
DeepSeekの100万トークン対応が意味すること
まず「100万トークン」がどれくらいの量かというと、だいたい書籍3〜4冊分のテキストに相当します。これまでの128,000トークンでも十分長いと言われていましたが、100万トークンになると使い方が根本的に変わってきます。
たとえば、長編小説をまるごと読み込んで要約や分析を依頼したり、大規模なコードベースを一括で解析させたりといったことが可能になります。これまではRAG(検索拡張生成)で工夫して対処していた長文処理が、単純にコンテキストに入れるだけで済むようになるかもしれません。
DeepSeek V4とR2の位置づけ
DeepSeekは2026年の春節に合わせて2つの新モデルを準備しています。
V4は汎用モデルのV3の後継で、テキスト生成やコード生成などの基本性能が大幅に向上していると見られています。V3の時点でGPT-4クラスの性能を低コストで実現していたので、V4ではさらにその先を狙っているのでしょう。
R2は推論特化モデルR1の後継です。R1は数学や論理的推論でOpenAIのo1シリーズに匹敵する性能を見せていたので、R2はその延長線上でさらに強力なモデルになりそうです。
中国AI市場の競争が激化している背景
DeepSeekだけでなく、中国のAI企業は一斉に新モデルのリリースを加速させています。AlibabaはQwen3.5を発表し、ByteDanceも新モデルを準備中です。
この競争の激しさには、DeepSeekの成功が大きく影響しています。比較的少ないリソースで世界トップクラスの性能を実現したDeepSeekの存在が、他の中国企業にも「自分たちにもできる」という確信を与えたのでしょう。
米国側でもAnthropicが300億ドルを調達するなど、AI開発への投資は過熱しています。グローバルなAI競争はますます激しくなっていますね。
開発者にとっての実務的な影響
DeepSeekの動向が開発者にとって重要なのは、コスト面でのインパクトが大きいからです。DeepSeekはオープンソースでモデルを公開しており、API利用料も欧米の競合と比べてかなり安価に設定されています。
100万トークンのコンテキストが使えるようになると、これまでGraphRAGのような複雑なアーキテクチャで対処していた問題の一部が、シンプルなプロンプトで解決できるようになるかもしれません。
ただし、コンテキストが長くなればなるほど推論コストも上がるので、「とりあえず全部入れればいい」というわけではないことには注意が必要です。DeepSeek公式サイトでAPIの料金体系を確認してから導入を検討するのが良さそうですね。
ロングコンテキストの技術的な課題
100万トークンのコンテキストを実現するには、いくつかの技術的なハードルがあります。メモリ効率の問題、注意機構(Attention)の計算コスト、そして「Lost in the Middle」と呼ばれる長文中間部分の情報が無視されやすい現象への対策などが挙げられます。
DeepSeekがこれらの課題をどう解決しているかの詳細はまだ公開されていませんが、V3の時点でMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用して効率化を図っていたので、V4でもその延長線上の技術が使われている可能性が高いです。
まとめ
DeepSeekの100万トークン対応とV4/R2モデルのリリースは、AI業界の競争がさらに激化していることを示す象徴的な出来事だと感じています。特にコスト効率の高いモデルが次々と登場することで、開発者にとっての選択肢はますます広がっていきますね。
個人的には、ロングコンテキストの実用性がどこまで高いのか、実際にV4が出たら試してみたいところです。RAGベースのアーキテクチャとの使い分けがどう変わるのか、今後の展開が楽しみですね。