JavaScriptのランタイムといえばNode.jsが長らく定番でしたが、ここ数年で状況が大きく変わってきました。Deno 2.0の登場に続いて、もうひとつ注目を集めているのがBunというランタイムです。
実際に触ってみたところ、起動速度やパッケージインストールの速さに驚かされました。今回はBunの特徴や仕組み、Node.jsとの違いについてまとめてみます。
Bunとは何か
Bunは、Zig言語で書かれたJavaScript/TypeScriptランタイムです。公式サイトでは「all-in-one JavaScript runtime & toolkit」と紹介されています。ランタイムだけでなく、バンドラー、テストランナー、パッケージマネージャーまで全部入りなんですよね。
開発者のJarred Sumner氏が2022年に公開して以来、GitHubのスター数は急速に伸びて、2026年2月時点で10万を超えています。それだけ開発者コミュニティからの期待が大きいということでしょう。
Bunが速い理由
Bunの最大の特徴は、とにかく速いことです。Node.jsがV8エンジンを使っているのに対して、BunはApple製のJavaScriptCoreエンジンを採用しています。SafariのJSエンジンですね。
さらに、ランタイム本体がZig言語で書かれている点も大きいです。Zigはメモリ管理を細かく制御できる言語で、C言語に近いパフォーマンスが出せます。結果として、起動時間がNode.jsの約4倍速く、HTTPサーバーのスループットも2〜3倍ほど上回るケースが多いようです。
パッケージインストールも高速で、bun installはnpmの約25倍速いとベンチマークで報告されています。実際に大きめのプロジェクトで試してみましたが、体感でも明らかに違いました。
Node.jsとの互換性
「速いのはわかったけど、既存のNode.jsプロジェクトは動くの?」という疑問があると思います。結論から言うと、かなりの互換性があります。
Bunはnpmパッケージをそのまま利用でき、node_modulesの構造もNode.jsと同じです。package.jsonもそのまま使えるので、多くのプロジェクトではnodeコマンドをbunに置き換えるだけで動いたりします。
ただし、Node.jsのネイティブアドオン(C++拡張)やNode.js固有のAPIに深く依存しているライブラリは動かないケースもあります。そのあたりは公式の互換性ドキュメントで確認しておくと安心です。
Bunの主な機能
Bunがユニークなのは、開発に必要なツールが最初から全部揃っている点です。具体的には以下のような機能が内蔵されています。
- ランタイム — TypeScriptやJSXをトランスパイルなしで直接実行できます
- パッケージマネージャー — npm互換で高速な
bun install - バンドラー — esbuildに匹敵する速度のビルドツール
- テストランナー — Jest互換の
bun testが内蔵 - SQLiteドライバー — データベース接続がネイティブで組み込み済み
個人的に嬉しかったのは、TypeScriptがゼロ設定で動く点です。tsconfig.jsonを書かなくても、.tsファイルをそのままbun run app.tsで実行できます。フロントエンド開発のツールチェーンがシンプルになるのは大きなメリットだと感じました。
実際にインストールして使ってみる
macOSやLinuxなら、以下のコマンド一つでインストールできます。
curl -fsSL https://bun.sh/install | bash
インストール後、bun --versionでバージョンが表示されれば成功です。簡単なHTTPサーバーを立ててみましょう。
// server.ts
const server = Bun.serve({
port: 3000,
fetch(req) {
return new Response("Hello from Bun!");
},
});
console.log(`Listening on ${server.port}`);
bun run server.tsで起動すると、ブラウザでhttp://localhost:3000にアクセスできます。Web標準のfetch APIをそのままハンドラーに使えるのが直感的で良いですね。
BunとNode.js、Denoの使い分け
3つのランタイムをどう使い分けるかは、プロジェクトの性質によって変わります。
エンタープライズで長期運用するプロジェクトなら、エコシステムが最も成熟したNode.jsが安全です。セキュリティ重視ならパーミッションモデルを持つDenoが向いています。
一方で、スタートアップやサイドプロジェクトで開発速度を優先したい場合は、Bunのオールインワンな環境が生産性を大きく上げてくれます。特にTypeScriptメインの開発では、設定ファイルの少なさが地味に効いてきます。
Bunの課題と注意点
もちろん万能ではありません。いくつか気をつけたい点があります。
まず、Windows対応がまだ完全ではない部分があります。LinuxやmacOSでは安定していますが、Windows環境では一部の機能に制限が残っています。また、Node.jsと比べてプロダクション環境での実績がまだ少ないため、ミッションクリティカルなシステムに採用するのは慎重に判断した方がよさそうです。
エコシステムの面でも、Node.js向けに作られたツール(PM2やnodemonなど)がBunでは動かないケースがあります。このあたりは今後の改善に期待ですね。
まとめ
Bunは「速さ」と「シンプルさ」を両立したJavaScriptランタイムです。Node.jsのエコシステムをほぼそのまま活かしながら、起動速度やビルド速度で圧倒的な差を見せてくれます。
とはいえ、Node.jsを今すぐ全部置き換えるべきかというと、そこまで急ぐ必要はないかもしれません。まずはサイドプロジェクトや新規の小さなAPIから試してみて、相性を確認するのが良いアプローチだと思います。JavaScript/TypeScriptの開発体験を向上させたい方は、一度触ってみる価値がありますよ。