AudibleのAI活用
Amazon傘下のオーディオブックサービス「Audible」が、AI技術を積極的に導入してサービスの改善を進めている。レコメンデーション、検索、コンテンツ発見など、ユーザー体験の様々な場面でAIが活用されるようになった。
AIパワードタグ機能
Audibleが導入したAIパワードタグは、顧客レビューをAIが分析して、各オーディオブックの特徴を簡潔なタグとして表示する機能だ。例えば「心温まるロマンス」「テンポの良い展開」「共感できるストーリーライン」といったタグがタイトルの上部に表示される。
従来は何十件ものレビューを読んで本の雰囲気を把握する必要があったが、タグを見るだけで要点がつかめるようになった。Amazonの本体ECサイトでも同様の生成AI技術がレビュー要約に使われており、その知見がAudibleにも応用されている形だ。
AIによるトピックページ
もう一つの注目機能が、AIが生成するトピックページだ。ユーザーの視聴履歴や好みに基づいて、関連するオーディオブックをテーマごとにまとめたページを自動生成する。「宇宙が舞台のSF」「実話ベースのサスペンス」のように、既存のジャンル分類では拾いきれない切り口で本を発見できる。
この機能により、「次に何を聴くか」という選択のハードルが下がり、ユーザーの利用頻度向上につながることが期待されている。
Maven:AI検索アシスタント
Audibleは「Maven」というAI駆動の検索機能も搭載している。従来のキーワード検索に加え、自然言語での検索が可能になった。「仕事のモチベーションが上がるビジネス書」のような曖昧なクエリでも、意図を汲んで適切な結果を返してくれる。
AIナレーションの展開
Audibleでは、一部の作品でAIによるナレーションも導入されている。人間のナレーターの声をAIでモデル化し、新しい作品の音声を生成する取り組みだ。ナレーターにとっては、自分の声のライセンス収入を得られるメリットがある一方、声の無断利用や品質への懸念も指摘されている。
Amazonは2023年からKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)でもAIナレーション機能を提供しており、出版のハードルを下げる一方で、プロのナレーターの仕事が奪われるのではという議論も続いている。
オーディオブック市場の動向
オーディオブック市場は年率20%以上で成長を続けている。Spotify、Apple Books、Google Play Booksなども参入し、競争は激化中だ。AI技術はこの市場において、コンテンツ制作コストの削減とユーザー体験の向上という両面で重要な役割を果たしている。Audibleが業界のリーダーとしてAI活用をどこまで進めるか、今後の動向が注目される。
