Webフレームワークの選択肢は年々増えていますが、2026年になって改めて注目度が上がっているのがAstroです。ブログやドキュメントサイトなど、コンテンツ中心のWebサイトを作るなら、Next.jsよりも適しているケースが多いと感じています。

実際にいくつかのプロジェクトで使ってみた経験をもとに、Astroの特徴やNext.jsとの違いについてまとめてみます。

Astroとは何か

Astroは、コンテンツ駆動型のWebサイトに最適化された静的サイトジェネレーター(SSG)兼Webフレームワークです。公式サイトでは「The web framework for content-driven websites」と掲げていて、ブログ・ドキュメント・ポートフォリオ・ECサイトなどがメインターゲットになっています。

2021年にFred K. Schott氏が立ち上げ、2026年2月時点でGitHubスターは5万を超えています。Snowpackの開発チームが手がけているフレームワークでもあります。

Astroの最大の特徴「アイランドアーキテクチャ」

Astroを理解する上で最も重要な概念が「アイランドアーキテクチャ」です。従来のSPAフレームワークでは、ページ全体がJavaScriptで管理されます。しかしAstroでは、ページの大部分は静的なHTMLとして配信され、インタラクティブな部分だけが独立した「アイランド(島)」としてJavaScriptで動作します。

たとえばブログ記事のページなら、本文やサイドバーは純粋なHTMLで、コメント欄や検索フォームだけがReactやVueのコンポーネントとして動くイメージです。

この設計の結果、配信されるJavaScriptの量が劇的に減ります。JavaScript依存のパフォーマンス問題が指摘される中、Astroのアプローチはかなり合理的だと感じました。

UIフレームワークに依存しない設計

Astroのもうひとつの大きな特徴は、特定のUIフレームワークに縛られない点です。React、Vue、Svelte、Solid、Preactなど、好きなフレームワークのコンポーネントを混在させて使えます。

同じページ内でReactのカルーセルとVueのフォームを共存させることも可能です。チームメンバーが異なるフレームワークに慣れている場合や、既存のコンポーネントを再利用したい場合に、これはかなり便利な仕組みだと思います。

Astroのパフォーマンス

実際にAstroで構築したサイトのLighthouseスコアを測ると、ほぼ確実に90以上が出ます。デフォルトでJavaScriptを最小限にする設計なので、特別なチューニングをしなくても高速なサイトが作れるんですよね。

Core Web Vitalsの各指標でも優秀な結果が出やすく、Google検索でのSEO評価にもプラスに働きます。コンテンツサイトでは表示速度がSEOに直結するため、この点は見逃せません。

Next.jsとの使い分け

「Next.jsでいいのでは?」と思う方も多いかもしれません。確かにNext.jsは万能なフレームワークですが、用途によっては過剰になることがあります。

Next.jsが向いているのは、ダッシュボード、SaaS、ECサイトなどインタラクションが多いWebアプリです。サーバーサイドの処理やAPI Routes、認証など、アプリケーション的な機能が充実しています。

一方、Astroが向いているのは、ブログ、ドキュメント、マーケティングサイト、ポートフォリオなどコンテンツが主体のサイトです。読み物中心でインタラクションが限定的なら、Astroの方がシンプルに作れて、パフォーマンスも高くなります。

ざっくり言うと、「読むサイト」ならAstro、「使うサイト」ならNext.jsという使い分けがわかりやすいかもしれません。

Astroの始め方

セットアップは非常に簡単です。以下のコマンドで新しいプロジェクトを作成できます。

npm create astro@latest

対話式のセットアップが始まり、テンプレートの選択やTypeScriptの設定を聞かれます。ブログテンプレートを選ぶと、Markdownベースの記事管理が最初から組み込まれた状態でプロジェクトが生成されます。

Astroのテンプレート構文は.astroファイルで、HTMLに近い書き方ができます。フロントマター部分でデータの取得やロジックを書き、テンプレート部分でHTMLを出力するスタイルです。

---
// src/pages/index.astro
const posts = await Astro.glob('./blog/*.md');
---
<html>
  <body>
    <h1>My Blog</h1>
    {posts.map(post => (
      <a href={post.url}>{post.frontmatter.title}</a>
    ))}
  </body>
</html>

HTMLを書ける人なら、学習コストはモダンCSSの知識があれば十分だと思います。Tailwind CSSとの相性も良く、公式のインテグレーションが用意されています。

Content Collectionsで記事管理

Astroには「Content Collections」という強力なコンテンツ管理機能があります。Markdownファイルを型安全に管理でき、フロントマターのスキーマ定義やバリデーションが可能です。

ヘッドレスCMSとの連携も簡単で、SupabaseやContentful、Strapiなどから記事データを取得してビルド時に静的ページを生成できます。WordPressのREST APIと組み合わせることも可能です。

デプロイとホスティング

静的サイトとしてビルドすれば、Cloudflare Pages、Netlify、Vercel、GitHub Pagesなど、どこにでもデプロイできます。SSR(サーバーサイドレンダリング)を使う場合は、Node.jsが動く環境やCloudflare Workersなどのエッジランタイムに対応しています。

静的サイトとしてホスティングするなら、月額のサーバーコストをほぼゼロに抑えられるのも嬉しいポイントです。

まとめ

Astroは「コンテンツファーストのWebサイトを速く・軽く・簡単に作る」というゴールに一貫したフレームワークです。Next.jsのような汎用フレームワークとは異なり、得意分野が明確な分、その領域では圧倒的な開発体験を提供してくれます。

ブログやドキュメントサイトを構築予定の方、あるいはJavaScriptの肥大化に悩んでいる方は、一度Astroを試してみることをおすすめします。「こんなにシンプルでいいんだ」という感覚が味わえると思いますよ。