Rosetta 2とは何だったのか
AppleがIntel Macから自社設計のApple Siliconへ移行する際、最大の課題は既存のIntel向けアプリをどう動かすかでした。その橋渡し役を担ったのがRosetta 2です。
もともとRosettaは2006年のPowerPCからIntelへの移行時にも使われた技術で、いわば「翻訳レイヤー」のような存在ですね。x86_64命令をArm命令にリアルタイムで変換することで、Intel Mac向けに開発されたアプリをApple Siliconでもそのまま動かせるようにしていました。
ただし、これはあくまで移行期間のための仕組み。Appleとしてはいずれ不要にしたいと考えていたはずです。そして今回、macOS 27でRosetta 2のサポートが終了する方針が明らかになりました。
なぜこのタイミングなのか
Apple Siliconへの移行が始まったのは2020年11月のM1チップからです。もう5年以上が経過していて、主要なアプリのほとんどはネイティブ対応が完了しています。
実際に確認してみると、Adobe Creative Suite、Microsoft Office、ブラウザ各種、開発ツール類はほぼすべてUniversal Binaryやarm64ネイティブに移行済みです。残っているのは更新が止まった古いアプリや、ニッチな業務用ツールくらいでしょうか。
AppleのApple Silicon移行ガイドでも、開発者に対してネイティブ対応を強く推奨しており、今回の終了は既定路線だったと言えます。macOS 26.4ではRosetta 2の非推奨警告が追加される予定で、27で完全に削除される流れになりそうです。
影響を受けるのは誰か
正直なところ、一般ユーザーへの影響は限定的だと感じています。日常的に使うアプリの大半はすでにネイティブ対応済みですから。
ただ、以下のようなケースでは注意が必要かもしれません。
古い業務用ソフトウェアを使い続けている企業や研究機関は、代替手段を検討する時期に来ています。特に開発元がすでにサポートを終了しているアプリケーションは、仮想化やエミュレーションでの対応が必要になるでしょう。
また、Intel専用のプラグインやドライバに依存している音楽制作やCAD関連のプロフェッショナルも影響を受ける可能性があります。
Appleのニュースルームでは、移行期間中のサポート体制についても案内されています。
過去の移行と比較してみると
興味深いのは、前回のPowerPC→Intel移行時のRosetta(初代)は約4年でサポートが終了した点です。Mac OS X Snow Leopard(10.6、2009年)で打ち切られました。
一方、今回のRosetta 2はM1登場から約6年間サポートされることになります。これはAppleにしては長い移行期間を設けた印象ですね。おそらくプロフェッショナル向けのワークフローが複雑化していることや、エンタープライズ導入のサイクルを考慮した結果だと思います。
Appleのファイルフォーマットに詳しい方なら分かると思いますが、Appleは内部的なアーキテクチャ変更を着実に進めてきました。Rosetta 2の終了はその集大成とも言えます。
開発者が今やるべきこと
まだIntel向けのみでビルドしているアプリがある場合は、早めのネイティブ対応をおすすめします。Xcodeでのユニバーサルバイナリ作成は比較的簡単で、多くの場合はビルド設定の変更だけで対応できます。
XcodeのArchitecturesをStandard Architectures (Apple Silicon + Intel)に設定し、arm64でのテストを実施するのが基本的な流れです。サードパーティのライブラリやフレームワークがarm64に対応しているかの確認も忘れずに。
また、iOS 27の最適化でも見られるように、Appleはコード最適化を重視する方向にシフトしています。ネイティブ対応することでパフォーマンスが大幅に向上するケースも多いので、これを機に取り組んでみる価値はあるかなと思います。
Intel Mac時代の終わり
Rosetta 2のサポート終了は、Apple SiliconへのTransition Completeの宣言に等しいものです。2006年から続いたIntel Mac時代が、静かに幕を閉じようとしています。
個人的には、Rosetta 2の翻訳精度と速度には本当に感心していました。ほとんどのアプリがネイティブと変わらない速度で動いていて、移行の痛みを最小限に抑えた功績は大きいと感じています。
次のステップとして気になるのは、macOS 27がどのようなハードウェア要件を設定するかですね。Rosetta 2が不要になるということは、Intel Macのサポート自体も終了する可能性が高いでしょう。お使いのMacがApple Siliconかどうか、今のうちに確認しておくことをおすすめします。