アドバンテストが不正アクセスとランサムウェア展開の可能性を公表したニュースは、製造業のセキュリティ運用にとってかなり示唆が多い事例でした。半導体関連の企業はサプライチェーン上の影響範囲が広く、1社の障害が連鎖しやすいです。だからこそ、感染の有無を完全確定する前でも、初動を先に回す設計が重要になります。
初動で優先する順序
私が現場で意識しているのは、証拠保全・封じ込め・業務継続の3本柱を同時に回すことです。どれか1つに寄りすぎると、後で必ず詰まります。例えば封じ込めを急ぎすぎるとログが欠損し、逆に調査優先に寄せると業務停止が長引く、という形です。最初から並行で設計しておくと、判断がかなり安定します。
ランサム前提のネットワーク設計
理想論としては「侵入させない」が正しいですが、実務では“侵入後の拡散を遅らせる”設計が効きます。特に、バックアップ系統と認証基盤の分離、管理者端末の運用分離、そして復旧手順の事前演習は必須です。ここを後回しにすると、攻撃後に復旧のボトルネックが一気に表面化します。
継続的な露出管理の考え方は、CTEM解説記事にも通じる部分があります。脆弱性をゼロにするより、優先順位を付けて攻撃面を狭める運用が現実的です。
公表対応とステークホルダー調整
インシデント対応では、技術チームだけで完結しません。取引先、顧客、監督官庁、社内経営層へ、タイミングを揃えて説明する必要があります。ここで情報粒度がバラバラだと、信頼を落としやすいです。最初から報告テンプレートを作っておくと、広報と技術の足並みが揃えやすくなります。
まとめ
今回の件は、ランサム被害の有無そのものだけでなく、初動体制の成熟度が問われるニュースでした。侵入を完全に防ぐのは難しい前提で、被害を限定し、復旧までの時間を短くする設計へ投資するのが、いまの現実解だと思います。定期演習をしている組織ほど、被害時の判断が速いです。ここは本当に差が出ます。
参考: ITmedia NEWS / Advantest / AIOps運用記事
