2025年、IT業界の景色はどう変わっているのか

2024年は生成AIが「使えるツール」として企業に浸透した年でした。ChatGPTやCopilotが日常業務に組み込まれました。つまり、AIを試すフェーズから本格運用するフェーズへの転換が進んだのです。

では2025年のIT業界はどうなるのか。この記事では、AIの進化、サイバーセキュリティ、IT人材市場の変化という3つの軸で整理します。

IT業界最大の注目:AIエージェントの時代が始まる

2025年のIT業界最大のキーワードは「AIエージェント」です。これまでのAIは質問に答えるだけでした。しかし、エージェント型AIは自ら計画を立てタスクを完了させます。

何が変わるのか

たとえば、「来週の会議資料を作って」と指示するとします。するとAIが過去の議事録を調べ、関連データを集めます。さらに、スライドを作成し参加者にメールで共有するところまで自動で行います。

また、OpenAIのGPTsやAnthropicのClaudeはエージェント機能を強化中です。さらに、Microsoft Copilot Studioで企業向けAIエージェント構築も進んでいます。

企業が取るべきアクション

  • 小さく始める:まず社内の定型業務をAIエージェントに任せる
  • データ基盤を整える:AIが正しく動くにはデータ整理が必要
  • ガバナンスを設計する:権限設定や承認フローの設計が不可欠

IT業界のセキュリティ課題:AI時代の新たな脅威

AIの進化は防御側だけでなく攻撃側にも恩恵をもたらしています。そのため、2025年のセキュリティ環境はこれまで以上に複雑化しています。

AIを悪用した攻撃の増加

生成AIを使ったフィッシングメールは、人間が書いたものと区別できません。日本語の不自然さで見破れた時代は終わりつつあります。つまり、技術的な検証の仕組みが必須になっています。

さらに、ディープフェイクによるなりすまし攻撃も報告されています。具体的には、ビデオ会議で上司を装って送金を指示するケースも発生しています。

ゼロトラストの実装が本格化

「社内ネットワークだから安全」という考え方は過去のものになりました。なお、ゼロトラストアーキテクチャは大企業だけでなく中小企業でも導入が進んでいます。

具体的には以下の施策が挙げられます。

  • 多要素認証(MFA)の標準化:パスキーの導入も広がっている
  • EDRの導入:中小企業向けマネージドサービスも増加
  • セキュリティ教育:従業員のリテラシー向上が最も費用対効果が高い

IT業界の人材市場はどう変わるのか

IT人材の不足は引き続き深刻です。しかし、求められるスキルの中身が変わってきています。

「AIを使える人材」の需要急増

プログラミングができる人材だけでなく、AIツールで成果を出せる人材の需要が急増しています。たとえば、プロンプトエンジニアリングやRAGの設計などのスキルです。

また、これらのスキルはエンジニア出身でなくても習得できます。業務知識を持つ非エンジニアがAIを使いこなすケースが増えています。つまり、「市民開発者」と呼ばれる層が活躍しているのです。なお、生成AIがコンサルティングをどう変えるかについても参考にしてください。

リモートワークの定着と地方人材の活用

リモートワークは2025年には多くの企業で恒常的な働き方として定着しました。そのため、東京一極集中だった採用が地方にも広がっています。

一方で、ハイブリッド型に移行する企業も増えています。つまり、「どこまでリモートを許容するか」は採用競争力に直結する問題です。

スキルの賞味期限が短くなっている

技術の進化スピードが速まっています。そのため、3年前の技術が陳腐化するケースも珍しくありません。また、企業はリスキリングプログラムの整備を進めています。さらに、個人は継続的な学習を前提としたキャリア設計が必要です。

2025年のIT業界を乗り切るために

AIエージェント、セキュリティ、人材──この3つは密接に絡み合っています。AIの導入にはセキュリティの考慮が不可欠です。さらに、それを推進するには適切なIT人材が必要です。

大切なのは、すべてを一度に変えようとしないことです。自社の課題を明確にしましょう。そして、優先順位をつけて一つずつ着手するのが現実的です。なお、AIによる組織変革の記事も合わせてお読みください。

まとめ──2025年のIT業界の変化に備えよう

2025年のIT業界は「AIが手伝う」から「AIが動く」への転換点にあります。エージェント型AIの普及が進んでいます。また、AI悪用によるセキュリティリスクも高まっています。さらに、AIスキルを持つ人材の奪い合いも激化しています。

まずは自社の現状を棚卸ししましょう。具体的には、AIの活用余地、セキュリティの穴、人材のスキルギャップを把握するところから始めてみてください。また、IT業界の最新動向はIPA(情報処理推進機構)の情報も参考になります。