OpenVPNに4つの脆弱性、連鎖すると完全な制御を奪われる
Microsoftの脅威インテリジェンスチームが、オープンソースVPNソフトウェア「OpenVPN」に4つのセキュリティ脆弱性を発見した。個々の脆弱性は「中程度」の深刻度と評価されているが、これらを連鎖(チェーン)させることで、リモートコード実行(RCE)やローカル権限昇格(LPE)が可能になるという。
Microsoftのウラジミール・トカレフ氏は「この攻撃チェーンにより、攻撃者は標的のエンドポイントを完全に制御でき、データの漏洩やシステムの侵害につながる」と警告している。
4つの脆弱性の概要
発見された脆弱性はOpenVPNのWindows版に影響するもので、それぞれ異なるコンポーネントに存在する。
1つ目は、OpenVPNのプラグインメカニズムにおけるスタックオーバーフローの脆弱性だ。攻撃者が細工したデータを送信することで、メモリ破壊を引き起こせる。2つ目は、openvpnservインタラクティブサービスにおける権限昇格の問題で、名前付きパイプへのアクセス制御が不十分だった。
3つ目と4つ目も同様にサービスコンポーネントの実装上の欠陥で、メモリの不正な読み書きやサービスの制御奪取が可能になる条件を含んでいた。
重要なのは、これらの脆弱性を悪用するにはユーザー認証が必要であり、さらにOpenVPNの内部構造に関する深い知識が求められる点だ。つまり、誰でも簡単に攻撃できるわけではないが、標的型攻撃においては十分に悪用可能な脅威だ。
「中程度」の脆弱性を甘く見てはいけない
今回の事例が示す教訓は明確だ。個々には「中程度」と評価される脆弱性でも、複数を組み合わせることで深刻な攻撃が成立する場合がある。CVSSスコアだけを見て「緊急ではない」と判断していると、攻撃者に先を越される。
実際、攻撃者は単一の脆弱性で一発逆転を狙うよりも、複数の小さな穴を組み合わせてアクセスを段階的に拡大する手法を好む。これは「脆弱性の連鎖(Vulnerability Chaining)」と呼ばれ、現代のサイバー攻撃では一般的な戦術だ。
対策:アップデートと多層防御
OpenVPNはこれらの脆弱性を修正したバージョンをリリース済みだ。OpenVPN 2.6.10以降にアップデートすることで、今回の問題は解消される。まだ更新していない環境があれば、早急に対応すべきだ。
加えて、VPNソフトウェアの運用においては以下の点を見直してほしい。VPNクライアントの自動アップデートを有効にすること。VPNサーバーへのアクセスを必要最小限のユーザーに制限すること。ネットワークセグメンテーションを導入し、VPN経由のアクセスでも内部リソースへの到達範囲を限定すること。
VPNはリモートワーク時代に不可欠なインフラだが、「VPNを使っているから安全」という思い込みは危険だ。VPN自体も攻撃対象になり得ることを常に意識しておく必要がある。
