2024年8月、ブラジルの最高裁はイーロン・マスク率いるX(旧Twitter)の国内利用を全面的に禁止するという異例の判断を下しました。表現の自由とプラットフォーム規制をめぐる議論が世界的に広がるきっかけとなったこの出来事、その後の展開も含めて整理します。
禁止に至った経緯
発端は、ブラジルの最高裁判事アレクサンドレ・デ・モラエスが、偽情報を拡散しているとされる複数のアカウントの削除をXに命じたことでした。Xはこの命令に従わず、さらにブラジル国内の法定代理人を引き上げるという強硬な姿勢を取りました。
これに対し、モラエス判事は2024年8月30日にXの即時かつ全国的な利用停止を命令。VPNを使ってアクセスした場合、1日あたり5万レアル(当時のレートで約150万円)の罰金を科すという厳しい内容でした。
Xの主張と国際的な反応
X側は「ブラジルの判事が検閲を行っている」と主張し、法定代理人を逮捕すると脅迫されたと訴えました。イーロン・マスクは自身のXアカウントでモラエス判事を繰り返し批判し、言論の自由の侵害だと訴えています。
一方、ブラジル政府や法律の専門家の多くは「プラットフォームが国内法に従うのは当然のこと」という立場を取りました。EU各国でもプラットフォーム規制が強化されている流れの中で、この問題は世界的な議論を呼びました。
その後の展開——Xのブラジル復帰
禁止措置は約1ヶ月間続きましたが、Xは最終的にブラジルの要求に応じる形で譲歩しました。新たな法定代理人の任命、裁判所が指定したアカウントのブロック、約500万ドルの罰金の支払いなどの条件を満たし、2024年10月にサービスが再開されています。
この一連の騒動で明らかになったのは、グローバルなプラットフォームであっても各国の法律から逃れることはできないという現実です。同時に、政府がプラットフォームのコンテンツに直接介入することの是非についても、引き続き議論が必要でしょう。
日本への影響は?
日本でもSNSの偽情報対策やプラットフォーム規制の議論は進んでいます。2024年には偽情報・誤情報対策に関する総務省の有識者会議が提言をまとめるなど、法整備の動きが加速しています。ブラジルの事例は、プラットフォーム規制がどこまで許されるのかを考える上で重要な参考になります。
